労働関係法令

違反したら、罰金30万円!? 「労働条件通知書」と「雇用契約書」の違いとは?

図1

違反したら、罰金30万円!?

「労働条件通知書」と「雇用契約書」の違いとは?

 

こんにちは。ウィル・スキル・アソシエイトの漆澤です。

 

人を雇うときに、雇い主が必ず実施しなければならないことの一つとして、「労働条件の明示」があります。これは、労働基準法第15条にも定められているもので、雇い主の義務です。

 

「労働条件の明示」のため、よく使用される書類として「労働条件通知書」と「雇用契約書」がありますが、2つとも労働条件を記載している似通った書類であり、違いが非常にわかりづらくなっています。そこで今回は、雇い主の義務である「労働条件の明示」がどのようなことであるか説明し、「労働条件通知書」と「雇用契約書」の違いについて、雇い主が最低限おさえておくべきポイントを説明していきます。

 

 

労働条件を明示するとは?

労働条件を明示するとは、要するに、“雇い主が、労働者に対して、労働条件を書面で伝えること”です。書面で伝えることしか認められていないため、口頭で労働条件を伝えたとしても、「労働条件の明示」をしたことにはなりません。また、前述しましたが「労働条件の明示」は労働基準法で定められた雇い主の義務のため、違反すると罰金30万円を科される可能性もあり、雇い主としては必ず実施しなければならないこととなります。

 

 

明示すべき労働条件とは?

労働者に対して明示すべき労働条件も、労働基準法で決まっています。労働条件は『必ず明示しなければならないもの』と『義務ではないが明示した方が良いもの』に分かれます。

 

■必ず明示しなければならないもの

  • 雇用契約の期間(期間の定めがあるか、ないか)
  • 勤務場所や業務内容
  • 勤務時間、休憩、休日(始業、終業時間、休日の曜日や日数、休暇の有無や時期、シフト制等)
  • 賃金に関するもの(給料の金額とその計算方法、締め日、支払い方法等)
  • 退職に関するもの(退職の申し出方法、申し出の時期、懲戒事由等)

 

■義務ではないが明示した方が良いもの

  • 昇給(昇給有無、基準、条件等)※
  • 退職手当(退職金有無、金額の計算方法、支払い方法等)※
  • 臨時に支払われる賃金、賞与(報奨金や賞与の有無、支払い時期等)※
  • 労働者負担の食費、作業用品(労働者負担の食費有無、作業用品の自己負担有無等)
  • 安全・衛生(健康診断受診義務等)
  • 災害補償、業務外の疾病扶助(災害補填有無、疾病扶助有無等)
  • 表彰、制裁(表彰要件、制裁要件等)
  • 休職(産休と育休の有無等)
  • (期間の定めがある契約では必須)相談窓口

※は、期間の定めがある契約の場合は必須事項となります。

 

ここまでは、「労働条件の明示」について、説明しました。それでは、「労働条件の明示」はどのような方法で実施するのでしょうか?

 

「労働条件の明示」方法とは?

「労働条件の明示」の方法として、よく使用される書類が「労働条件通知書」と「雇用契約書」です。

 

この2つの書類の違いは、各書類の名前を見ることでわかります。

 

  • 「労働条件通知書」→雇い主が一方的に労働者へ労働条件を通知する書類
  • 「雇用契約書」→雇い主が労働条件を通知した後、その労働条件で労働者と契約したことを証明する書類

 

「労働条件の明示」するという観点からいうと、「労働条件通知書」もしくは、「雇用契約書」を労働者に対して発行してれば、雇い主は「労働条件の明示」を果たしたと言えます。ただし、前述した必須項目が記載されていることが必要です。

 

「労働条件通知書」もしくは、「雇用契約書」を発行すればよいのですが、労働者と労働条件に関して裁判になるというリスクを考慮すると、一方的に労働条件を通知する「労働条件通知書」よりも、労働者と労働条件について合意した証明となる「雇用契約書」の方が、雇い主にとっては、リスクヘッジにつながる可能性があります。

 

理想を言えば、「労働条件通知書」と「雇用契約書」を2つとも発行することがよく、例えば、内定を出した時点で「労働条件通知書」を発行し、実際に労働者が入社する際に、「雇用契約書」を発行するとすれば、確実なリスクヘッジにつながります。

 

 

 

 

まとめ

「労働条件の明示」は雇い主の義務です。その方法として、「労働条件通知書」と「雇用契約書」があり、どちらも発行することがおすすめですが、どちらか一方を発行するのであれば、「雇用契約書」を発行する方が、より雇い主のリスクヘッジになる可能性があります。

初めて労働者を雇う雇い主は、「労働条件通知書」や「雇用契約書」を作成したことがないかと思われますが、厚生労働省のサイト(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/)から様式をダウンロードできますので、ご参照いただければと思います。

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