起業するにあたって必要な法律知識は何か?
ウィルスキルアソシエイト株式会社代表取締役 竹内慎也
これは非常に多岐にわたります。
ただ、私が、何度か起業した経験から申し上げると、
そんな事はやりながら覚えればいい。専門家が教えてくれる。
という事です。
「え?そんなのアドバイスになってないじゃないですか?」
と思われると思いますので、この程度は必要かな、という点を書きます。
実際、私は、法律的な知識よりも24歳の起業時では、人材採用についてなどの問題を持ち、30歳の起業時では、会社の種類をどうするか?個人事業にするか、法人でやるか、合同会社は選択肢になりうるか?といった点で少し考えましたが、面倒なので(笑)株式会社としてスタートした経緯があります。
なので、起業するだけなら、法律知識はそこまで必要ではないと今でも私は思っています。
ただ、知っておいて損はしないと思いますので、少し書いてみますね。
1.会社法(株式会社の設立形態)
こちらは、会社の設立形態に関してや、非常に幅広く、会社についての取り決めを法制化したものです。
会社形態
例えばですが、株式会社と合同会社の違いって何?
という疑問などが浮かぶ事と思います。
そういった点を今の時代はネットで調べる事が出来てしまいますので、会社形態について知っておく事はある意味で有用でしょう。
例えば、個人事業でやる場合もそうですし、株式会社でもどうか、そして、例えば有限責任事業組合などの新しい形式についても少し調べておいたほうがいいと思います。
最低資本金制度
株式会社は、以前は1000万円の資本金を必要としていましたが、現在は1円でも出来ますし、取締役会についても、必須だったものが、現在は取締役のみでも運用が可能です。
ちなみに取締役会設置会社ですと、「監査役」を置かないといけない、というのがあります。
昔、創業した事がある方ですと、社長の奥様や親族が、名前だけ監査役になっているケースは多かったですね。
その他、こんなこともよく聞かれます。
資本金の一部に現物出資したいのですが、いくらまで可能ですか?
ですが、基本的には500万円迄は検査役の検査不要になります。
(あまり現物出資を見た事はありませんが…笑)
このような事などは必要でしょう。
会社の機関設計
さらには、よく会社の代表者を「代表取締役」と言いますが、「常務取締役」って何?「取締役会」って何?監査役って?
と思われるかも知れませんが、こちらも会社法に関する内容です。
また、将来M&Aを検討している場合についても会社分割、合併についての知識が必要となるかと思います。
その手法や、簡易組織再編という手続きを省ける仕組みなどもあります。
そういった所も少し学んでみてもいいでしょう。
2.税法(青色申告制度)
こちらはずばり言いますと、個人事業の方向けですが、青色申告制度というのがあります。
こちらは、税金の申告方法の話になります。
この制度を使って、正規の簿記で損益計算書などを作成しましたら、所得最高65万円を控除することとされています。
この辺は、起業する人ならほぼ皆さんは通っていると思います。
では、ここからです。
ちなみにですが、法人税の特例などもあります。
税引前当期純利益が800万円以下の場合は、15%の法人税だけで済む、という特例です。
(まあこう言った事は、税理士さんが教えてくれますのでご安心して下さい)
3.労働基準法はじめ労働法令について
意外と知らない人が多いのが、労働に関する取り決めです。
例えば労働基準法では、労働条件(労働時間、休日、賃金など)の最低基準を定めた法律という事で、最低限の労働時間や、休日などについて知らないなんて事になると、人を雇用する際などに、分からない事だらけかと思います。
例えば、1日8時間労働は知っているとして、
・有給休暇の付与
・残業代
・就業規則
などを知っておいた上で対策を考えていかないといけないのです。
また、昨今、多様な働き方の受け入れを企業は求められていますので女性活躍や、介護をしないといけなくなった場合の事などについても理解をしていく意味で、労働関係法規は必要でしょう。
また、同じように労働市場も理解をしておいた方がいいでしょう。
4.知的財産権(特許法など)
これは、ベンチャー企業で起こり得そうな事ですが、例えば、他になく、産業上非常に有益で、特殊な商品または方法(プロセスイノベーション、プロダクトイノベーション)を発明したり、生み出した場合は、大手企業は、ある程度マーケットが出てきたら一気に参入をしてきます。
模倣を防ぐ、参入障壁を築く、という意味で、最低限度、特許に関しても理解しておいた方がいいかも知れません。
特許、実用新案権、意匠権、商標権
「先願主義」という事で先に出した人が保護されやすいという点と、出願日から20年間有効です。
特許は、高度な方法や物の発明をした場合に守られる知的財産権です。
結構似ているもので、実用新案権や、意匠権、商標権などもあります。
意匠や商標などは、登録日から有効という多少の違いなどありますが、そういったものがあることを理解しておきましょう。
例えば、商標権といっても非常に幅広く、あなたが売り出していきたいと思っているような、商品サービス名などは商標登録が可能ですね。
また、意匠権はデザインそのものに対する、知的財産権です。
そして、時々いらっしゃるんですが、何でも、コピペすればいい的な考えを持っていると要注意です。
著作権侵害で訴えられる場合もあります。
著作権には、著作人格権や、著作隣接権といった権利があるのでそういった事も調べておきましょう。
5.最新の法令
こちらは、経済産業省や厚生労働省などの省庁から、環境変化に対応するために、随時改訂される法律です。
例えば、中小企業経営力強化法、ですとか、まちづくり3法、女性活躍推進法などといった、法律です。
こういった新しい施策につながるようなものについても
理解を進めていった方がいいでしょう。
まとめ
起業時に法務、法律知識は必須ではなく、やりながら覚えてもいいが、学んでおくなら、会社法、税法の一部、知的財産、労働関連、その他最新の法令です。
本日はここまで、また次回をお楽しみに。
こんにちは!
いつも拝見させて頂いています(^ ^)
非常に勉強になります!!
今回、女性の起業について質問させて頂きたいです。
現在、美容師10年目です。
就職した頃からいつかは自分のお店を持ちたいと思っていました。
今、その気持ちがすごく強いです。
店舗を増やし大きくしたいとかではなく、個人サロンでお客様との距離が近いアットホームなお店創りを考えています。
たくさんの店舗ができる中で、潰れる店舗もたくさんあります。
原因は、やる気や向上心があっても経営能力や知識がなかったからなのでしょうか?
やってみなければわからない事は多いと思いますが、正直何から始めればいいのかわかりません。
先生は起業する時、何から始めましたか??
あと、出産育児も視野に入れているのでその後なら遅いでしょうか。
起業するなら早ければ早い方がいいのでしょうか?
素人の質問で恥ずかしいです、すみません!m(_ _)m
こんにちは!コメントありがとうございます。
素晴らしいですね。
お客様との関係を大事にしたいというお気持ちが伝わってきます。
是非、起業して頑張って下さい!
経営するにあたって必要な要素は、私は3つあると考えております。
1つ目は、しっかりとした思いがあるか?
ここには、やる気もそうですが、何を成し遂げたいのか?というビジョンも含まれるますし
どんな会社にしたいのか、という思いです。
2つ目は、商品サービスです。
今までの世の中にあったものと何が違うのか? これをしっかりしておかないといけないですね。
今、美容師をされている中で、一体どんな事を思い、どんな商品サービスにしたら喜んで頂けるだろうか?
これをはっきりさせて、店づくりや会社づくり、商品に活かして欲しいですね。
3つ目は、経営能力や知識に関する事です
これは、やりながら身につけることも可能ですが
本気でされるなら学んでおくことが理想です。
経営者は、単にサービスを提供するだけでなく、
人事、財務、法務、マーケティング、企画といったものを
総合的に考えていかないといけません。
なので、少しずつでもいいので軽く勉強しておいた方がいいですが
この中からあえて1つ選べと言われたら、
起業家には、マーケティング(セールス含)がまず必要です。
つぶれる会社は、「売れないから」つぶれる、というのが最初は圧倒的に多いからです。
次に、人事→財務→法務のような流れになるでしょうか?
1つの例として、
参考にして下さいね
お忙しい中返信ありがとうございます!!
的確なアドバイスで、とても勉強になりました。
将来を考えた上で、今できることをしていきます!
是非!起業というのは一番ワクワクすることなので、是非やりましょう!!!