私たちは研修サービスをしているので、時々言われるのが
「研修内容に真新しさが欲しい。なんか新しい提案はないの?」という事です。
私はこれを「真新しさシンドローム」と命名しています。
これこそがトレーニング機会を奪う1つの考え方になります。
がしかし、重大な間違いを犯してしまっている可能性が高いなと私は思っています。
なぜかというと、こういう思考に、仮に経営者が陥ってしまった場合には
最新情報ばっかり仕入れて、それを社員に共有しますが誰も実行できない。
しかも日常的に重要である事柄についても
社内での教育すら、しなくなってしまう事も多いからです。
その理由に「真新しくないから」というのが上がってくるんですね。
それはどういう事か?というとこう言う事です。
1.真新しさを求める人は今出来ていないことを振返っていない。
新しさばかり求めていると、今やるべきこと、改善すべきことに着手が出来ておらず
新しいことをやることで、そこから逃げようとしています。
こうなってしまった場合には、中々前に進みはしないなと思うのが正直な所です。
2.真新しい小手先テクニックを優先するあまり重大な「核」が抜けてしまう。
最新のノウハウとか言われると確かに聞こえはいいのですが、多くの場合「小手先テクニック」であることが多いです。なので、時代の変遷と共に使えなくなることもしばしばです。
また、その情報をキャッチアップするのが遅かったりすると、習得したころには時代が変わっています。
それよりも、会社であれば事業のコアや戦略、といったことを鍛え上げる、磨きあげることが重要です。
3.「知っている」と「出来る」の差に気付いていない
このパターンも多いです。
「知っている」=「出来る」という錯覚がこういったことをもたらします。
こうなるともう修正が中々効かなくなることもしばしばです。
こういった事があるのです。
では逆に、「研修をうまく使われる方」はどうしているか?について少し紹介してみますね。
1.社内で何度も繰り返し伝えるべき内容について講師からも伝えてもらう
このやり方は研修効果を高める上で欠かせません。
理由は、「第三者から言われることで受け入れやすくなること」が挙げられます。
人は3つのタイプに分かれます。
1:自社の話を重視して聞く人
2:社内ではあまり話を聞かず外部の声を参考にする人
3:自社も外部の声も両方とも聞く人
このうち1と3のタイプは、指導しやすいのですが、2のタイプは指導が難しいのです。
この事に気づいておられる方は研修をそういう使い方で利用をされます。
2.考えさせたり実践力をつけさせるために使う
単なるインプットの発想だと真新しい情報かどうかばかり気にしますが
考えたり実践力をつけるというのは1つの物事を「深く、応用的に」理解をすることを意味します。
業務でどちらが役に立つかというと、知識量よりも、実践力ではないでしょうか?
なので、研修というトレーニングを、実践力や思考力を養うきっかけに使われる事が重要です。
3.短期的な成果向上を求めない
研修はトレーニングなのですぐに成果向上につながるかは分かりません。
向上できるのはスキルや思考力、実践能力というものになります。
これらは長期的に効果を発揮してくるものですから、そういった思考で考えておかないと
いけません。
研修というトレーニングの持つ意味を把握し長期視点の経営に役立てていくことを
成功されている会社様では捉えておられますね。
終わりに
昔からノウハウコレクター、セミナージプシーと言われる方もおられますが
この手の方で成功したという人をほぼ見た事がありません。
学ぶなら核となる内容や実践力強化を、というのが研修へ求める効果だという点をしっかり捉えて下さいね。
また新しいものを学ぶことを否定するものではありません。
新しいものを学び続ける生涯学習という観点も必要であることは言うまでもありません。