人事評価・賃金

同一労働同一賃金の特徴とは?そのメリットと限界・リスクとは?

同一賃金同一労働社会

同一労働同一賃金の特徴とは?そのメリットと限界・リスクとは?

人事コンサルタント 土居雅弘

みなさんこんにちは!

ウィル・スキル・アソシエイトの人事コンサルタント、土居雅弘です。

今回は、今話題の「同一労働同一賃金」についてご紹介したいと思います。

これは、安倍内閣の一億総活躍国民会議にて議論されている、正社員と非正規雇用者の格差是正を実現させるための政策です。

簡単に言うと、

同じ仕事をしているのであれば正社員だろうと、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員であろうと同じ水準の賃金にしましょう

という内容です。

欧米、特にヨーロッパではごく自然に受け入れられている考え方ですが、日本企業における賃金の決定の仕方は、これと大きく異なるものでした。以下で、その違いについて説明していきます。

同一労働同一賃金社会の特徴

同一賃金同一社会

同一労働同一賃金の社会では、職種ごとに賃金の相場が決まっています。

例えば、「経理でこのポジションであればこれくらいの賃金」など、勤めている会社の規模、又は年齢や社歴に関係なく仕事の内容で賃金が決まるのです。

ちなみに、日本でも同一労働同一賃金の原理で動いている業界もあります。

例えばコンビニ業界が分かり易いですね。

どのコンビニでも時給は900円前後です。セブンイレブンは業績が良いから時給1500円、ということはありえないでしょう。

その他に、医療業界、美容業界などもそうです。

同じ仕事をしているのであれば賃金の水準は同じであり、勤める職場による賃金の格差も少ないのです。

又、長年勤めたからといって賃金が大幅に上昇するといったこともありません。

そのため、これらの職種では労働市場が流動的で転職し易いといった特徴もあります。

例えば、美容師さんの場合、「私は○○美容室の社員である」という意識よりも「私は美容師です」という意識の方が強いのではないでしょうか。

又、美容師免許やスキルをもっているので転職することも比較的容易でしょう。

現状、いまの日本企業は

日本

一方、多くの日本企業は、「能力」を中心とした賃金の決定を行っています。

その「能力」を計る指標として重視されているのが「年齢」になります。

人事部が作成した職務等級を基準に昇進や昇給を実施するのが一般的です。

当然、賃金やポストは企業により異なるので、どの企業に所属しているのかで収入が大幅に変わってきます。

学術的には、

大企業と中小企業の二重構造

と呼ばれています。

就職活動中の学生が大企業志向になるのもここが大きな要因なのです。

このような人事制度は年功序列、もしくは終身雇用という呼び名で有名ですよね。

30歳で係長に昇進して40歳で課長になって…というように年齢での昇進や昇給のモデルケースが決まっていますので、中途採用者を受け入れることが難しいです。

働き手からしても、転職すると収入が減ってしまうので、できれば同じ企業で働き続けたいという傾向になりがちです。

同一労働同一賃金社会が必要となった背景とは

社会

以上、同一労働同一賃金社会と日本型長期雇用の特徴について説明しました。

高度成長期まで、日本型長期雇用制度は「Japan as Number One」と呼ばれる日本経済躍進の根幹を成す人事制度として世界からも注目されていました。

しかし、高度経済成長期が終焉を迎え平成不況に入ると、企業の人事制度は大幅な変革を迫られました。

賃金に加え、福利厚生や社会保険、教育訓練費を企業が負担しなければならない正社員を大量に採用する余力がなくなってきたのです。

結果、正社員の採用を抑制し、時給以外の負担が殆どなく雇用の調節弁としても機能する非正規雇用労働者を活用する企業が増えてきました。

1995年、当時の日経連は、「新時代の『日本的経営』」において、労働者を長期蓄積能力活用型(正社員)、高度専門能力活用型(専門職)、雇用柔軟型(非正規雇用者)の3つに分類し、非正規雇用者を積極的に活用する方針を打ち出しています。

その後、非正規雇用者を活用する企業が増加し正社員の数も減ってきたのですが、同時に収入の格差も問題視されるようになってきました。

フリーター問題や、ワーキングプア問題について聞かれたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この格差を解消することが安倍内閣の課題として注目されているのです。

制約社員活用の必要性

制約社員

現在、日本の企業社会は今までにない採用難に見舞われています。

人口が減少していく中で優秀な働き手を確保することの困難さを多くの事業主様は感じていらっしゃることと思います。

弊社、ウィル・スキル・アソシエイト株式会社は、「普通の人材を育成し、活躍できる人材へ」ということをモットーに人材育成や人事評価制度の面から中小企業の事業主様にご協力させて頂いておりますが、人材を確保することの困難さはこれからますます加速していくと感じております。

今まで企業社会の中核として働いてきたのは男性ですが、これからは女性、外国人、高齢者、障害をもった方、育児や介護と仕事を両立しなければならない方等にも活躍してもらわなければなりません。

これらの人達にはフルタイムの男性労働者と比較して多くの制約が出来てくるケースが多いですよね。

例えば、介護と仕事を両立している方などです。

そのような事情を持った方にとって自分のライフスタイルに合わせて働くことが可能なアルバイト、パート、契約社員、派遣社員などの雇用形態は理にかなったものでしょう。

しかし、先にも述べましたが、日本では正社員と非正規雇用者の賃金格差が大きく、非正規雇用者として働いても生活を維持することは極めて困難です。

正社員と非正規雇用者との賃金格差を国際的に比較してみますと、正社員を100とすると、ドイツが79%、フランスが89%であるのに対し、日本は57%と極端に低くなっています。

そのため、政府はこの差を埋めようと様々な施策を打ち出しているのです。

同一労働同一賃金社会の限界とリスク

リスク

何となくイメージを掴んで頂けましたでしょうか?ここまで聞く限りでは、素晴らしい取り組みのように見えなくもありません。

しかし、この政策を推し進めていくに当たり様々な困難も予想されます。

第一に、採用や教育に係わる人事制度を国が企業に対して強要することは不可能ですよね。

それぞれの企業で、独自の制度を構築していると思いますので。

逆に、仮に同一賃金同一労働が普及してきたとしてもそれに伴う問題が出てきます。

基本的に同一労働同一賃金社会では、労働者がその分野の職務能力を持っていることを前提に企業と労働契約を交わしますので日本のように企業が社員を一からしっかり育成するという意識が比較的希薄です。

いつ辞められるかわからない非正規雇用者を育成することに対する抵抗のある事業主様も多いのではないでしょうか。

近年、様々に批判されている新卒一括採用ですが、そもそも就労経験すらない未経験の新卒者を雇用し、仕事のみならず社会人としてのマナーや礼儀までも教え、育成するという習慣は日本以外ではあまり多くないのです。

そのため、同一労働同一賃金の浸透しているヨーロッパでは職業経験の少ない若者の失業率が中高年者より高いという特徴もあります。

同一労働同一賃金社会では基礎的な職業教育は学校で行われることになっています。

そこで身に付けた知識や技能をアピールして企業に採用されるのです。

職業学校の数が少ない日本の場合、教育体制も大幅に変更していく必要があります。

しかし、一番怖いのが、賃金を争点とした労使紛争が多発する可能性があるということです。

昨年2月の一億総活躍国民会議にて、『正社員と非正規雇用者とで異なる賃金制度を採用する企業において、労働者から「不当な扱いをされている」と訴えられた場合に、その説明責任を企業に課し、透明性を高める』ということが提案されているのです。

今のうちに人事制度や給与体系、就業規則を見直す必要があるでしょう。

まとめ

アイデア

いかがでしたでしょうか?

現在は、企業の人事制度や労務管理の考え方の転換期ではないでしょうか?

2017年度には、正社員と非正規雇用者における格差是正の制度を導入するための助成金が幾つかでることになっています。

良い機会だと思いますので取組を検討されてみてはいかがでしょう?

無論、多くの中小企業は人材確保に苦労されていることと思います。

やる気や実績のある従業員であればいくらでも正社員へ転換されるのではと思いますし、そもそも正社員と非正規雇用者の格差も少ないでしょう。

しかし、しっかりとした人事制度を導入している企業には人材が集まり、定着するというのも事実です。

又、予期せぬ労使紛争のリスクを事前に摘み取ることにもつながるのです。

ぜひ、お近くの社会保険労務士や人事コンサルティング会社に相談されることをお勧めします。

それでは、また次回、お会いしましょう。

 

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