労働関係法令

正しいみなし残業の運用方法とは?

みなし残業

正しいみなし残業の運用方法とは?

ウィル・スキル・アソシエイト 人事コンサルタント土居雅弘

今回は、みなし労働時間制についてご紹介したいと思います。

この制度は、労働時間の算定が困難な業務や、通常の労働時間の算定方法では必ずしも適性とはいえないため、合理的な算定方法を定めてものです。

労働基準法は1947年に制定されています。

当時、労働者の多くは製造業で働いており、「時間」が賃金を決定する重要な要素でした。

労働基準法も当時の事情を反映し、賃金を決定する主要な要素として「労働時間」を採用しています。

しかし、時間を基準とした賃金の決定に対して疑問をもっておられる経営者の方は多いのではないでしょうか?

労基法が制定された当時とは違い、労働時間と成果が必ずしも比例しない職種も多くなっています。

中小零細企業にとって遵守することが困難な労基法ですが、しっかりと対策をとっておかないと後々大きなトラブルに発展することもあります。

近年、残業代未払いなどの労使紛争が多発していることを知っている読者の方もおられるでしょう。

みなし労働時間制とは?

みなし残業

そこで紹介するのが「みなし労働時間制」という制度です。

俗に「みなし」と呼ばれている制度で、知っている方も多いのではないでしょうか?

「うちはみなしだから、残業代は支払わなくても大丈夫…」

単に時間外手当を支払わなくてよい制度であると勘違いされているケースも多いのですが、今回はこの制度について詳しく見ていきたいと思います。

この制度は大きく、「みなし労働時間制に基づくみなし残業」、そして「定額残業制に基づくみなし残業」の2つに大別できます。前者は更に以下の3つに分類されます。

みなし労働時間制に基づくみなし残業

  1. 事業場内のみなし労働時間制
  2. 専門業務型裁量労働制
  3. 企画業務型裁量労働制

実労働時間を図ることが困難な外回りの営業マン、時間で賃金を決定する事になじまない、高度に専門的な仕事をしている労働者や、経営企画などクリエイティブな仕事に従事している労働者に適応されます。

労使協定で決めた1日の労働時間が8時間を超えた場合、例えば10時間であれば2時間分の時間外手当を支払わなければなりません(月の所定労働日数が20日であれば、計40時間分)。

定額残業制に基づくみなし残業

次に「定額残業制に基づくみなし残業」ですが、こちらは職種の制限がなく、全ての労働者が対象となります。

この制度は、基本給や年俸の中に、一定の残業代が含まれているとみなす制度です。

例えば、基本給25万円(内5万円はみなし残業代とする)、というような表記を雇用契約書の賃金蘭に定めるイメージです。

みなし労働時間制の大きな誤解

不満

それでは、この2つの制度を利用する際に起こりがちなトラブルについて見ていきましょう。

まず、みなし残業時間制について説明します。

この制度は、前述したように、時間で給料が決まることに馴染まない、高度な仕事をしている職種に限定されます。

にもかかわらず、あらゆる職種で利用されている現状があるのです。

通常の事務員や営業職に適応することは違法になります。

さらには、仮に適応される職種で、実際にこの制度を取り入れたとしても、会社は労働者の実労働時間を把握し、働き過ぎによる体調不良に陥ることを防ぐための「安全配慮義務」を果たすことが必要になります。

さらには、深夜労働手当、休日出勤手当については別途支給する義務があるということも把握しておかねばなりません。

定額残業制の大きな誤解

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次に、「定額残業制に基づくみなし残業」について見ていきましょう。

この制度は、対象業務が限定されていない分、より多くの労働者に適応されている分、問題も大きいと考えています。

この制度で一番重視されるべきポイントは、給与における、基本給とみなし残業代の割合です。

給与に占めるみなし残業代の割合が大幅に多く、基本給の割合が大幅に小さい場合、最低賃金を割り込む可能性が大きくなります。

例えば、大阪府における現在の最低賃金は883円ですが、1か月の基本給を日割りにして、この最低賃金を割り込むようなことになれば「違法」となります。

求人詐欺とは?

求人詐欺

ちなみに、この部分について最近気を付けなければならないのは、求人広告を出す時です。

多くの中小企業、とくに営業職などでハローワークなどに求人広告を出される際、みなし残業代込みの給与を提示される企業は多いと思います。

しかし、その内訳をきちんと記載しない企業に対し、懲役刑を含む罰則を科すことを厚生労働省が検討しています。

給与の内訳をきちんと提示しない求人を、「求人詐欺」と呼ぶ論調が世の中では高くなっています。

近年、ブラック企業問題がクローズアップされるにつれ、求職者の企業を見る目もシビアになっています。

書籍やネットでも、「ブラック企業を見分けるポイント」などの見出しで、そのノウハウを提供しています。

例えば、「月給20万円~30万円など幅があると危険」、「企業アピールの欄にアットホームな職場、と書かれていたらブラック企業の可能性が高い」などです。

インターネットの普及により、「あの会社はブラックだ」と書き込まれた場合、その企業が受けるダメージは計り知れません。

無論、多くの経営者の方は、求職者に対して「まずは待遇よりも自分がどのように会社に貢献できるか考えて欲しい」、「待遇は後からついてくるもの。まずはガムシャラに働くという意欲を見せて欲しい」とお考えのことと思います。

そのお気持ちは痛い程よくわかります。

労働保険料、社会保険料など、人を採用した場合、企業の負担はかなり多くなります。

さらに、採用しても戦力となるには時間がかかり、その期間の生産性は極めて低いものです。

無論、教育訓練費は全て会社持ちです。

人を採用し、給与を払い続けていくことがどれだけ大変か…

従業員を使い捨てているような、ごく一部の企業は別として、大多数の経営者が期待しているのは、採用した従業員が成長し業績に貢献してくれることです。

しかし、中々その思いが伝わらず、悲しいすれ違いが起こっているということも事実なのです。

細かいことではありますが、労使紛争が多発している現在、きちんと防衛策をはっておかねば、思わぬ労務トラブルに巻き込まれるリスクが高くなるのです。

そうならないためにも、みなし残業制を運用する場合、よく注意しましょう。

まとめ

終わりに

今までの、労基法を主軸とした労務管理に限界が来ていることは明白です。

今後、労務管理の規制緩和が一段と進み、近い将来、成果で給与が決まる世の中になるでしょう。

ホワイトカラーエグゼンプションの議論は、その良い例です。

しかし、まだまだ過渡期であり、週40時間労働をはじめとした「給与は時間で決まる」という考え方が主流なのです。

もし、みなし残業制度を利用しているが不安があるという経営者の方には、近くの社会保険労務士、又は人事コンサルタントへ相談することをお勧めします。

勿論、これらの専門家にも得意、不得意な分野がありますので、事前にHPなどで確認することが必要です。

いかがでしょう?

少し後味の悪い記事になってしまったかもしれません。

しかし、きちんとした、自社とマッチした内容であれば、人事労務管理制度は企業と従業員、双方の成長に資する素晴らしいものとなります。

それでは、今回のブログはここまでです。次回をお楽しみに。

(前回記事:【永久保存版】中小企業が爆発的な成長を遂げる為に必要な”人材育成法”とは!?

 

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