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「社会」について語らない日本の教育の未来とは

皆様、こんにちは。ウィル・スキル・アソシエイト株式会社の江熊です。

日本財団が2019年11月30日に行った、「第20回 –社会や国に対する意識調査-」では、各国の17歳から19歳の男女、それぞれ1000人ずつに意識調査を行い、比較しているのですが、その中で日本にとっては少しショッキングな結果が出てしまいました。

調査した国はインド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツ、そして日本の9ヵ国で、項目としては、「自分を大人だと思う」、「自分は責任がある社会の一員だと思う」、「将来の夢を持っている」、自分で国や社会を変えられると思う」、「自分の国に解決したい社会課題がある」、「社会課題について、家族や友人など周りの人と積極的に議論している」があったのですが、日本はなんと全項目において最下位という結果に終わりました。

特に「自分を大人だと思う」と「社会課題について、家族や友人など周りの人と積極的に議論している」はそれぞれ29.1%、27.2%で、それぞれ一位の中国と比べて約3分の1、「自分で国や社会を変えられると思う」に至っては18.3%で、一位のインドと比べると4分の1以下となっています。

また「自分の国の将来について」という質問では、日本は「良くなる」が9.6%で9ヵ国中最下位。「悪くなる」のスコアは高く、イギリスに次いで2位。「変わらない」20.5%、「どうなるか分からない」32.0%がそれぞれ9ヵ国中最多で、国の将来に対する展望を持てない人の割合が多くなりました。

「社会」について考える事

もちろん日本人は謙譲の美があり、あまり自分の意見を述べないので、アンケートが全てを表している、といは言えない、という見方もありますが、しかし他の国々と比べた場合、特に自分が社会に対して働きかけられる、それによって社会を変えられる、といった感覚は著しく低い傾向はみられます。

言葉を変えれば、自分が何をしても社会は変えられない、といった根拠のないあきらめさえ漂っている、とも言えます。

そして、それと連動して、社会課題について周囲と話さない傾向も高く見られます。

個人的にも、海外で生活している時は、学校やバル、飲みの場等においても、政治や社会課題等について議論する人は良く見られましたが、日本においては仲間内で社会や政治等について話す事はまずない、といった声もよく聞きます。

キャリアコンサルティングをしていて、個人の目標やあるいは自身の会社の中でこのようにして行きたい、といった事はよく聞きますが、どんな社会であってほしいのか、あるいは、自身がどんな働きかけをして、どんな社会にしていきたいのか、といった事を訊くと、あまりそんなことを考えたり、話したりすることはない、という答えが返ってくる事も多くあります。

「公」と「私」のバランス

もちろん自分自身の事やその周辺の事をしっかりと考えて行動する事は非常に重要な事ですが、同時に今自分が住んでいる社会や時代について考え、その中での自身の役割や使命といった事を考えて、日々の行動に反映させていくといった事も重要になります。

先の調査で、なぜ日本が他の国と比べても圧倒的に、社会についての自身の無力感が高かったり、そもそも社会について考えたり、話したりする機会が少ないのか、という事については様々な要因があるかと思いますが、家庭や教育の場等において、その様な事に興味、関心を持たせるような取り組みや習慣が少ない、といった事もあげられるかと思います。

さらに気になるのは、内閣府の「令和元年版 子供・若者白書」の中で、各国の13歳から29歳までの男女の意識調査において、「自分自身に満足している」、「自分には長所がある」と答えた人の割合も他の国と比べて日本がかなり低いという点です。近年のこの手の調査でほぼこの様な傾向がみられるので、日本は相対的にみて、普段の生活の中で相当自分自身に対して否定的に見るようなアプローチが、相互になされているのではないか、という点も危惧されます。

「公」よりも「私」についてよく考え、語られる事が多いにも関わらず、「私」について自己否定し、あるいは否定されることも多い、というのは救いようのない感じもするかもしれませんが、逆に考えれば、むしろ「公」、あるいは社会について考え、自身の使命や志といったものを意識して日々過ごし、「公」の中で「私」の目的を明確化していく事で、より「私」の部分も充実していく、という事も考えられます。

さいごに

どんな社会、あるいは組織にいたいのか、そのために自身はどうするのか、という事をどう教育にも活かしていくのか、という事は非常に重要な事ですので、今後も考え、発信して参れればと思います。

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